2022
6/28
サーキュラーエコノミーについて解説
- 2022.06.28
- お知らせ
近年、地球の気候変動による環境問題や温暖化対策を始め、人間の行動等が環境に及ぼす影響の深刻化が世界的に重要な課題になっています。
例えば、廃棄物量の増加や、資源・エネルギー・食料需要増などの懸念も深刻化しており、グローバル規模での経済活動の見直し対策、移行が求められています。
そのような中、
従来の大量生産・大量消費・大量廃棄のモデルから、モノを長く使い、廃棄を削減していく考え方として、「サーキュラーエコノミー」が注目・推進されています。
今回は、単なる環境保護活動ではなく、環境への対応と経済的なメリットを両立すると言われるこの概念(「サーキュラー・エコノミー」)について、その意味や概要、事例内容などをご紹介します。
サーキュラーエコノミーとは?
サーキュラーエコノミーを日本語に訳すると、「循環経済」になり、資源をできるだけ長く循環させながら利用することで、廃棄物などの無駄を富に変える循環型の経済モデルのことを言います。
また、サーキュラーエコノミーと対照的な経済モデルとしてリニアエコノミーがあります。こちらは、冒頭で申し上げました従来のモデルで、「大量生産・大量消費・大量廃棄」を基本とし、「調達、生産、消費、廃棄」といった流れが一方向の経済モデルのことを言います。日本語では「直線型経済」と訳されます。
なお、
サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、従来の3Rの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化などを通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです。 引用:環境省「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第2章第2節 循環経済への移行 」 |
「サーキュラーエコノミー(循環型経済モデル)」は、環境省のホームページでは次のように定義されています。
つまり、カーボンニュートラルに向けた最新の考え方のひとつとして、過去のビジネスモデル(大量生産などの結果による物の排出に対するリデュースやリユース、リサイクル)からサステナブルなビジネスに転換できる技術の開発や仕組みがメーカーや消費者意識、購買の動きに対しても求められているのです。
サーキュラーエコノミーと3Rの違い
ここでは、サーキュラーエコノミーと3Rの違いについてご紹介します。
循環型社会を表す用語のひとつとして頻繁に挙がるものに「3R」があります。
3Rとは、
・Reduce(ごみをなるべく発生させない製品づくり)
・Reuse(繰り返し使用)
・Recycle(廃棄されたものの再活用)
の3つの英単語の頭文字を取った言葉です。
サーキュラーエコノミーと非常によく似ていますが、3Rは少なからず廃棄物が発生することが前提となっています。一方、サーキュラーエコノミーは廃棄物そのものを発生させない(ゼロ)社会を目指しています。
前章でご紹介した図(「サーキュラーエコノミー」)のように、
・原料
・生産
・使用
・リサイクル
の円になったプロセスを経て、原料が形を変えながら循環しているのがわかります。生産の段階からあらかじめリサイクルのしやすい作りにすることで、より循環しやすくなっています。
また、サーキュラーエコノミー(循環型社会)は、Eliminate(排除)/Circulate(循環)/Regenerate(再生)の、3つの原則のもと成り立っています。
なお、その3原則の意味は次のとおりです。
・Eliminate waste and pollution(廃棄物や汚染物質を出さない):負の外部性を明らかにし、排除する設計にすることによってシステムの効率性を高める。
・Circulate products and materials (at their highest value)(製品と原材料を、高品質を保ったまま使い続ける):技術面、生物面の両方において製品や部品、素材を常に最大限に利用可能な範囲で循環させることで資源からの生産を最適化する。
・Regenerate nature(自然のシステムを再生させる):有限な資源ストックを制御し、再生可能な資源フローの中で収支を合わせることにより、自然資本を保存・増加させる。
企業のサーキュラーエコノミーの取り組み事例
ここでは、企業のサーキュラーエコノミーの取り組み事例(【NIKE】【ミシュラン】【ブックオフ】【ユニクロ】【Adidas】)をご紹介します。
【NIKE】
NIKEは、再生ペットボトルから始まったリサイクルポリエステルを使用してデザインや製品づくりをしており、何十年にもわたり廃棄物削減に取り組んでいます。その結果、今までで約10億本のペットボトルが埋立地行きを回避しています。低炭素素材の代替品を増やすことで、初めから廃棄物を出さないよう、デザインすることを心がけています。
【ミシュラン】
ミシュランは、提供しているトラックの走行距離に応じて、タイヤの利用料を支払う「マイレージ・チャージプログラム」という運送会社向けのサブスクリプションモデルを打ち出しました。タイヤの製造から廃棄までのバリューチェーン全体を通して考えることで、タイヤの再生・再資源化を意識しています。さらに、タイヤのメンテナンスも提供サービスに含まれているため、環境だけでなく会社にも優しいサービスとなっています。
【ブックオフ】
ブックオフは、ある人が必要としなくなった本やゲーム機などを、必要とする人に提供する販売スタイルなため、ブックオフを通してモノを行き来すること自体がそのモノの寿命を伸ばしています。SDGsの目標である「つくる責任 つかう責任」 の達成をはじめとし、そのほかのSDGs目標の達成を目指しながら循環型社会を構築しています。
【ユニクロ】
ファーストリテイリング(ユニクロ)は2020年9月17日、回収したユニクロの服からまた新たに服を作る「RE.UNIQLO」というプロジェクトを立ち上げました。実際に同じ年の11月2日から、第1弾の「リサイクルダウンジャケット」を発売しました。
また、2020年9月25日から12月3日にユニクロの店頭にダウン商品を持ち寄ると500円分のデジタルクーポンがもらえるキャンペーンもおこなっていました。
現在では、各店舗にRE.UNIQL回収ボックスが設置され、いつでもいらなくなった服をリサイクルできるシステムが用意されています。
【Adidas】
Adidasは、海のプラスチック汚染に対する世界規模のムーブメントである「RUN FOR THE OCEANS」というイベントを2017年から開催しています。2021年度のイベントでは、「走行距離1kmごとに、プラスチック10本分の海洋プラスチックごみをadidasとパーレイが回収する」といった新しい取り組みをおこないました。結果的に2021年5月28日〜6月8日のイベントには全世界で500万人以上が参加し、走行距離は5,400万km以上でした。
今年(2022年)のRUN FOR THE OCEANSは5月9日からサインアップが開始されます。
太陽光パネルにおけるサーキュラーエコノミー
最後に、太陽光パネルにおけるサーキュラーエコノミーをご紹介します。
現在、太陽光パネルの設計上、ガラスからカドミウム・ガリウム・ゲルマニウム・インジウム・セレン・テルルなどの貴金属に至るまで、さまざまな部品の分解・回収は複雑なプロセスがあり、ガラスやアルミニウムを売却しても経済的なメリットがないため、ほとんどがシュレッダーにかけられるか、埋立地に運ばれています。
しかし、最近、米アリゾナ州立大学のプロジェクトでは、太陽光発電装置からシリコンや銀などの材料をより簡単に、かつ経済的にもメリットがある方法で回収できるソーラーリサイクルプロセスを構築しようとしています。
また、日本においても、三菱ケミカルグループの株式会社新菱が太陽光パネルのリサイクル事業を拡充しており、太陽光パネルから銀や銅、グラスウールをほぼ100%の純度で取り出し、再利用できるようにする最先端のリサイクル工場が2022年に新設されました。
そういった意味でも、太陽光パネルに対しても、最新技術を取り入れたサーキュラーエコノミーが進められているようですね。
最後に、地球温暖化の進む中、企業においても「サーキュラーエコノミー」への意識・取り組みが求められます
ぜひ、皆様も最先端の「サーキュラーエコノミー」の取組みとして、太陽光発電の導入をご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。