2022
7/12
カーボンオフセットについてわかりやすく解説
- 2022.07.12
- お知らせ
皆様は「カーボンオフセット」という言葉をご存知でしょうか?
「カーボンオフセット」とは、地球温暖化対策のひとつですが、認知度がまだまだ低いのが現状だと思います。ここでは、カーボンオフセットとは何なのか?また、取り組み方法や取り組み事例、よく似た言葉の「カーボンニュートラル」との違いなどについてご紹介します。
1.カーボンオフセットとは?
カーボンオフセットとは、直訳すると『二酸化炭素などの温室効果ガス(カーボン)を、埋め合わせる(オフセット)』という意味になります。
ご存知のように、近年、二酸化炭素(CO2)の排出量が増加し、地球温暖化が進んでいます。そのような中、国や自治体、大企業などが炭素(二酸化炭素など)の排出量を削減するために様々な取り組みが行われています。しかし、どれだけ努力しても、どうしても排出量を削減できないときも出てきます。
そのような時に出てくるのが、カーボンオフセットという考え方で、頑張っても削減できない二酸化炭素の排出については、他の部分で埋め合わせをしようというのがカーボンオフセットになります。
ちなみに、このカーボンオフセットですが、元々は、1997年に英国の植林NGOであるフューチャーフォレスト[英:Future Forest](現・カーボンニュートラル社)が植林活動を中心としたカーボンオフセットの取り組みを始めたことがきっかけで、世界中に広がったと言われています。
日本では、環境省が2008年に「我が国におけるカーボンオフセットのあり方について(指針)」に基づき、カーボンオフセットフォーラム(J-COF)を設立したことが始まりになります。
2.カーボンオフセットとカーボンニュートラルの違い
「カーボンオフセット」とよく似た言葉に「カーボンニュートラル」というものがあります。よく似ている2つの言葉ですが、その違いは、どういった点にあるのでしょうか?ここでは、その違いについて解説します。
環境省では、日本におけるカーボンオフセットとカーボンニュートラルを次のように定義しています。
カーボンオフセット
市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせること。
カーボンニュートラル
市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの責任と定めることが一般に合理的と認められる範囲の温室効果ガス排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせた状態。
つまり、カーボンオフセットとは、経済活動によるCO2の排出削減や、CO2吸収への取り組みや投資を行うことなど、違った形で「オフセット=埋め合わせ」しようという考え方で、カーボンニュートラルとは、排出されるCO2を人間の活動で吸収・除去し、排出量をプラスマイナスでゼロにしようという考え方になっており、カーボンニュートラルの中にカーボンオフセットが包含されているということになります。
3.カーボンオフセットの方法について
続いて、カーボンオフセットの取り組みの流れと5つの方法をご紹介します。
まず、取り組みの流れについては以下の通りです。
STEP.1 カーボンオフセットを行う活動を設定する
STEP.2 その活動で排出されるであろう温室効果ガスの量を算出する
STEP.3 自分たちの力でできる限り削減する
STEP.4 自分たちの取り組みのみでは削減できない温室効果ガス排出量を算出する
STEP.5 クレジットの購入や温室効果ガス吸収活動によって、その排出量を埋め合わせる(カーボンオフセット)
上記におけるStep5がカーボンオフセットの取り組みとなります。
では、具体的にカーボンオフセットを行うとなった際には、どのような方法を取ればよいのでしょうか?
環境省発行「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」によると、カーボンオフセットの具体的な方法としては、次のような5つの方法が例示されています。
①オフセット商品・サービス
製品を製造/販売する者やサービスを提供する者等が、製品やサービスのライフサイクルを通じて排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組みによるオフセット
②会議・イベントのオフセット
コンサートやスポーツ大会、国際会議等のイベントの主催者等が、その開催に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組みによるオフセット
③自己活動オフセット
自らの活動、例えば組織の事業活動に伴って排出される温室効果ガス排出量を埋め合わせる取組みによるオフセット
④クレジット付き商品・サービス
製品を製造/販売する者、サービスを提供する者又はイベントの主催者等が、製品・サービス等の消費者に対し、クレジットの活用による地球温暖化防止活動への貢献・資金提供等を目的として参加者を募り、クレジットの購入・無効化をする取組みによるオフセット
⑤寄付型オフセット
製品を製造/販売する者、サービスを提供する者又はイベントの主催者等が、製品・サービス等の消費者に対し、クレジットの活用による地球温暖化防止活動への貢献・資金提供等を目的として参加者を募り、クレジットの購入・無効化をする取組みによるオフセット
4.カーボンオフセットの取り組み事例
企業においてもーボンオフセットの取り組みは年々増加しています。ここでは、先ほどご紹介しましたカーボンオフセットの5つの方法別に企業の取組事例をご紹介します。
①オフセット製品・サービスの事例
<株式会社ファミリーマート>
2009年ファミリーマートは自社の環境配慮型プライベートブランド「We Love Green」(日用品15種類)の原料から製造、廃棄までの工程で発生する温室効果ガス排出量を削減するために、同じ量の排出枠を日本政府に譲渡する活動をしました。また、コンビニエンスストア業界では初の、カーボンオフセット付きレジ袋(1,000万枚限定)の導入も実施しています。
②会議・イベント開催オフセットの事例
<横浜市>
横浜市は、横浜FCが試合で排出した温室効果ガスをオフセットする「横浜ブルーカーボン事業」を実施しました。それは、横浜FCのホームゲーム来場者1人あたり1㎏分の温室効果ガスが対象になっており、2019年度では168トンのカーボンオフセットを果たしたようです。また、この取組は、日本プロサッカーリーグのチームがカーボンオフセットの取組を行った初めての事例です。
③自己活動オフセットの事例
<ヤフー株式会社>
2008年ヤフーは個人ユーザーがネット上で排出権を買い取ることのできるサービス「Yahoo!カーボンオフセット」を公開しました。風力発電や水力発電事業など、世界各地で行われているCO2削減プロジェクトから、個人ユーザーが排出権枠を買い取ることができるという仕組みです。さらに、Yahoo!ウォレットで購入すると排出権証明書をダウンロードできます。
この取組は、社会貢献の姿勢を打ち出しながら、CSR(企業の社会的責任)広告を掲載するなどビジネス化にも成功しています。
④クレジット付随品・サービスの事例
<日本コカ・コーラシステム&ローソン>
2010年コカ・コーラシステムは、清涼飲料水「リアルエナジー」に対し1本当たり1kgの排出枠を付け加えて全国のローソンで販売する活動を実施しました。購入者に代わり排出権を国に譲り渡すことで、購入者の生活から排出される温室効果ガス排出量の一部のオフセットを行うという仕組みです。この活動の結果、約8か月で461万本ほどを売り上げ4,618tのオフセットに成功しています。
⑤寄付型オフセットの事例
<住友林業株式会社>
2009年住友林業株式会社は、年間1万棟く建築する注⽂住宅、分譲住宅全棟の主要構造材の伐採・搬出・製材・運搬・施⼯の各段階で排出されるCO2全量相当のカーボンオフセットを⽬的とした「プロジェクトEARTH」をインドネシアでの植林による取組を実施しました。オフセットされるCO2は1棟あたり約6t-CO2、年間合計で約6万t-CO2になります。
5.カーボンオフセットに企業は取り組むべき?
ここまで、カーボンオフセットの取り組み事例をご紹介しましたが、実際に企業にとってこれらに取り組むことは重要なのでしょうか?
結論としては、カーボンオフセットに取り組むことは重要ですが、その前に削減できるだけの温室効果ガスを削減する必要があります。
先程、カーボンオフセットの手順についてご説明しましたが、Step5の前段階であるStep3に「自分たちで削減できるCO2はできるだけ削減する」という項目があったかと思います。
つまり、カーボンオフセットに取り組む前に、自社のCO2排出の中から削減できるものは無いか検討する必要があるということです。
では、自社のCO2排出量削減において、どのような手法を取るのがおすすめなのでしょうか?
おすすめさせて頂きたいのは自家諸費型太陽光発電の導入です。
電力消費におけるCO2の排出は、CO2排出量全体の大部分を占めます。
そのため、自家消費型太陽光発電を導入することで、CO2排出量を大きく削減することが出来ます。また、CO2排出量削減だけではなく、電気代削減や節税など様々なメリットを享受することが出来ます。
是非、皆様もCO2排出量削減の第一歩として自家消費型太陽光発電の導入をご検討ください。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。