2022
4/12
TCFDについてわかりやすく解説
- 2022.04.12
- お知らせ
皆さまはTCFDをご存じですか?
TCFDが企業の皆様にとって今後の資金調達の上で非常に需要になってくるかもしれません。
今回は、TCFDとは何か、また中小企業にとってTCFDは必要なのかということについて解説します。
是非最後までご覧ください。
1.TCFDとは?
2015年にパリ協定が採択されて以降、企業も「脱炭素」や「カーボンニュートラル」に取り組むことが求められ、世界中でイニシアティブが設立されています。 その中の一つに、TCFDがあります。
TCFDは「気候関連財務情報開示タスクフォース」の略称です。
TCFDは金融の安定を担う金融安定理事会(FSB)により、設置されました。
TCFDの普及拡大に至った経緯として、ESG投資の推進があります。
ESG投資の普及拡大により、環境リスクを考慮している企業の方が安全性が高いと判断され、投資家の投資の対象になりやすくなります。
しかし、企業のIR情報だけではそれらの比較が難しく、本当に環境リスクを考慮しているのかどうかということを判別できません。
よって、このままだと金融市場の安定性に欠けると判断されたことを受け、「TCFD」が設置されました。
2.日本でのTCFDの現状
現在、世界では3,147の企業がTCFDに賛同しています。
そのうち、758を日本の機関が占めており、これは433のイギリスを凌いで世界一です。
では、実際にどういった機関が賛同しているのでしょうか?
内訳は以下の通りです。
機関 |
数 |
金融セクター |
530 |
非金融セクター |
170 |
その他機関 |
58 |
合計 |
758 |
賛同機関数上位8ヶ国中、非金融セクターの数が金融セクターの数を上回っているのは日本だけであり、日本の企業が環境に関するリスクを重要視していることが伺えます。
また、金融セクターではメガバンクから地方銀行まで、非金融セクターでは大企業から中小企業までと、企業規模の幅も広いです。
これらのことから、企業や投資家を含め日本全体として気候リスクへの関心度が高く、
今後さらにTCFD提言に沿った情報開示が進んでいくことが予測されます。
3.TCFDで開示する指標とは?
TCFDでは、「投資家からの資金を集める」という一面があるため、賛同する企業は
・ガバナンス
・戦略
・リスク管理
・指標と目標
以上4つのテーマにおいて、開示することを求められています。
これら4つのテーマにおける開示内容についてまとめたものが以下の表です。
上記の表からわかる通り、気候関連のリスクを測るための指標から、それをもとに立てた戦略の管理体制まで、気候関連のリスク及び機会の全体像を開示することが企業には求められています。
これに加え、気候変動の影響を潜在的に大きく受ける
・金融セクター(銀行、保険会社など)
・非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業・食品・木材製品)
には、補助ガイダンスとして戦略や指標に関する具体例が提示されています。
4.TCFDは中小企業にも必要なのか?
TCFDに加盟する企業が増えている中で、現在では中小企業においてもTCFDに取り組む必要が出てきています。
TCFDは金融市場を安定させるため、という目的があります。
そして、そのTCFDの提言・賛同により投資家たちは明確な判断基準のもと、企業へ投資判断をしやすくなりました。
TCFD提言に沿った情報開示をしていない企業は、それだけで情報開示をしている企業に比べてリスクがあると判断され投資されにくくなることが予測される可能性があります。
すると、TCFDに取り組まない企業は資金調達が困難となり、経営継続に影響が出てしまう恐れがあります。
つまり、今後企業として資金調達をし続けるためには、企業規模を問わずTCFDに取り組む必要あるのではないでしょうか。
是非皆様も、TCFDに提言に沿った情報開示をご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。