9月1日から、上限価格が10円になります
資源エネルギー庁は2026年7月14日の作業部会で、需給調整市場の一次調整力・二次調整力①・複合商品の上限価格を、15円から10円/ΔkW・30分へ引き下げる案を示しました。適用は2026年9月1日の実需給分からとされています。金額にして5円、率にすると約33%の引き下げです。
今年3月に19.51円から15円へ下がったばかりですから、わずか半年での再改定ということになります。「また下がるのか」——率直に、そう感じられた方も多いと思います。当社にも、すでにご検討中のお客様から同様のご質問をいただいています。
まず正確に。「売上が33%減る」わけではありません
ここは誤解されやすいポイントなので、最初に整理させてください。下がるのは対象3商品の「価格の上限」であって、蓄電池事業の売上全体が一律に33%減るわけではありません。
実際、引き下げの根拠として示されたデータによれば、14円を超える価格で約定していたのは数量ベースで約3%程度とされています。つまり、大半の取引はもともと上限より低い価格帯で成立しており、上限に張り付いていた一部の高値取引が是正される、というのが今回の変更の実態です。もちろん影響がゼロではありませんが、「収益が3分の2になる」といった単純な話ではないのです。
むしろ注目したいのは「制度が固まってきた」ことです
振り返れば、2025年10月の段階では全商品を一律7.21円まで引き下げるという極めて厳しい案も提示されていました。それが議論を経て15円に落ち着き、市場の状況を見ながら10円へと段階的に調整されている——これは、行政が実際の取引データを見ながら着地点を探ってきた過程だと言えます。
制度が二転三転する時期は、事業計画が立てられません。逆に、段階的な調整を経て水準が定まりつつある今は、「この前提で計画を組めばよい」という基準がはっきりしてきたということでもあります。投資判断において、予見可能性が高まることの価値は決して小さくありません。
- ① 収益源が複数ある:需給調整市場だけでなく、JEPXの値差取引と容量市場を組み合わせる「レベニュースタッキング」が前提です。1つの市場の単価改定が、そのまま全体の収益減にはなりません
- ② 上限価格の取引は一部だった:上限に張り付いた高値約定は数量ベースで約3%。大半の取引はもともと上限より下の価格帯です
- ③ 蓄電池は市場参加を続けられる:火力や揚水は機会費用の関係で採算が合わなければ応札を控える傾向がありますが、蓄電池は他市場と比較しながら参加を継続できる柔軟性があります
当社のシミュレーションは、もともと控えめです
当社が物件をご提案する際は、ネガティブ・スタンダード・ポジティブの3シナリオでお示ししています。ここで大切にしているのは、ポジティブな数字を主役にしないことです。
低圧モデル(初期投資2,000万円)でのスタンダードシナリオは、年間手取り270万円・実質利回り13.5%・投資回収は約7〜8年。そして最も堅く見積もったネガティブシナリオでも、年間手取り180万円・実質利回り9.0%・回収約11年を想定しています。これらは需給調整市場の単価が高かった時期の実績を前提にしたものではなく、制度変更を織り込んだうえでの数字です。
今回の10円への引き下げによる影響は、この3シナリオの幅の中で吸収できる範囲だと当社は考えています。逆に言えば、「上限価格19円時代の実績」を前面に出した提案を受けている方は、今こそ前提を確認すべきタイミングです。
さらに引き下げの可能性も、前提に入れておく
正直にお伝えすると、今後さらに7.21円まで引き下げられる可能性も制度上は残されています。だからこそ当社は、需給調整市場の単価に過度に依存しない収益構造でご提案することを徹底しています。JEPXの値差取引、容量市場の固定収入、そしてそれらを的確に組み合わせられるアグリゲーターの選定。この3点が揃っていれば、単価改定は「想定の範囲内」に収まります。
制度は今後も動きます。だからこそ、良い数字だけを見せる提案ではなく、堅い前提でも成立する計画をご一緒に組み立てたいと考えています。現在販売中の物件について、最新の前提での収益シミュレーションを無料で作成しますので、お気軽にご相談ください。
※本記事の内容は掲載時点の公開情報に基づきます。上限価格の改定は正式公表前の案の段階であり、内容・適用時期は変更される可能性があります。収益シミュレーションは一定の前提に基づく概算であり、収益を保証するものではありません。