11月1日から、託送料金が変わります
一般送配電事業者各社は2026年7月10日、経済産業大臣に対して託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請を行いました。承認を経て、2026年11月1日を効力発生日とする託送供給等約款の変更が予定されています。原材料費・労務費・金利などの上昇を背景としたもので、電気料金への反映を各社が公表しています。
ここで蓄電所オーナーにとって見過ごせないのが、「発電側課金」も同時に引き上げられるという点です。
発電側課金とは何か
発電側課金は、2024年4月から導入された制度です。それまで託送料金を負担していたのは小売電気事業者と消費者のみでしたが、再生可能エネルギーの拡大による送配電設備の維持費用増加を受け、発電する側にも費用を公平に分担してもらう仕組みに変わりました。
蓄電所の場合、これは放電(=系統へ電気を送る側)に課される料金です。前回8月にお伝えした「蓄電池特措」は充電側の二重課金を避ける制度でしたが、放電側については別途この課金がかかる、という構造になっています。
- 基本料金が東北で1kWあたり93円04銭→109円37銭、関西で97円98銭→116円23銭と、2割近く上がるとされています(月額)
- エリアによって改定幅は異なります
- 中国電力エリアも11月1日実施の予定で届出がなされています
低圧蓄電所への影響をどう見るか
数字だけを見ると不安になるかもしれません。ただし、冷静に規模感を捉えることが大切です。
発電側課金の基本料金は出力(kW)に対してかかるため、負担額は設備規模に比例します。10MW級の大型蓄電所であれば年間で数百万円単位の影響が出ますが、低圧の49.9kWであれば、設備規模は大型案件の200分の1程度です。負担額の絶対値としては、大型案件とは桁が異なります。
とはいえ「小さいから無視してよい」という話ではありません。運転費が確実に増える以上、収支計画に織り込んでおくべきコストです。当社が「グロス(総収入)ではなくネット(手取り)でご提示する」ことにこだわっているのは、まさにこうした費用を見落とさないためです。
今年は「制度変更の年」でした
振り返ると、2026年は蓄電池を取り巻く制度が大きく動いた一年でした。3月の前日・30分単位取引への移行と上限価格15円化、4月の低圧解禁、8月の接続検討件数の上限導入、9月の上限価格10円化、そして11月の託送料金改定——半年あまりで、これだけの変更が続いています。
こうした状況では、「制度が変わらない前提で組んだ収支計画」は、そもそも成立しません。重要なのは、変更があっても事業が続けられる余裕を最初から持っておくことです。
だから、堅めの数字でご提案します
当社の収益シミュレーションは、ネガティブ・スタンダード・ポジティブの3シナリオでご提示しています。ネガティブシナリオは、こうした制度変更やコスト増が重なった場合を想定した数字です。「この数字でも資金計画が成立するか」を必ずご一緒に確認したうえで、ご契約いただいています。
良い条件だけを並べた提案は簡単に作れます。しかし10年以上運用していく事業で大切なのは、悪い局面を想定しておくことだと考えています。制度の動きも含めて率直にご説明しますので、販売中の物件一覧とあわせて、お気軽にご相談ください。
※本記事は掲載時点で公表されている情報・報道に基づいています。託送料金の改定内容は認可手続きの結果により変動する可能性があり、単価はエリア・契約区分により異なります。具体的な影響額については、各一般送配電事業者の公表資料および個別の契約条件をご確認ください。